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モノマネ英語

「ほったいもいじんな」

ほったいもいじんな

What time is it now?

 

みなさんはこのフレーズを聞いたことがあるでしょうか。昔のテレビCMで使われていたのですが、これが”What time is it now?”に聞こえる、というのです。口に出してみて、確かに似ている、と納得したものです。

 

しかし並べて比較してみると、多くの違いがあります。「m」のすぐあとに「o」はないので「いも」になるわけがありませんし、「it」の「t」の発音はどこかへ行ってしまいました。ですがなんとこれ、ちゃんと通じるのです。あるテレビ番組で、実際にアメリカ人にこれを言ってみるという実験をしていましたが、「きちんと」今の時間を教えてくれていました。

 

実は、これが通じる理由をよく考えてみると、きちんと通じる英語をしゃべるためのヒントが見つかるのです。

 

英語が通じるために必要なもの

どうもこんにちは。「Bridge School 2016 in 信州」(3月11日~3月13日開催)で英語セミナーの講師を担当しております須藤と申します。大学での専門は数学なのですが、日本の高校を卒業してイギリスの四年制大学に入ったという少し珍しい経歴を持っています。そのため、「実際に使える英語」を高校生に教えたい、という目的で、英語セミナーを受け持っています。

 

今回のテーマは「通じる英語とは何か?」です。私は生粋の日本人であり、それがどうやって英語をしゃべれるようになったのか、というのはよく聞かれることです。そこで私の経験から、実際にしゃべるときに気をつけるべきなのにあまり知られていない要素を、記事として書いてみました。

 

「ほったいもいじんな」のような例は「空耳英語」などと呼ばれ、他にも数多くの例があります。たとえば、

“Have a nice day!”が「幅ないっすね」

”Wash your hands.”が「わしゃ、変」

といった具合です。

これは「全然違うことを言っているのに、英語として通じる」という例ですが、その逆の例もあります。つまり、「英語を話しているつもりなのに、全く通じない」という例です。具体的には、英語をカタカナ発音してしまった場合があります。

 

たとえば、”What time is it now?”を「ワット タイム イズ イット ナウ」としてアメリカ人に言ったとします。今度はちゃんと全部の子音を発音していますし、母音も全部あっているはずです。しかしこの場合、全く理解してくれないのです。

 

では、空耳英語にあって、カタカナ英語にない要素とは一体なんでしょう。それは、音程とリズムです。

実は、英語圏の人たちは発音された音を一字一句きちんと聞き取っているわけではありません。英語は子音がとても多いため、全てを聞き取るのはほぼ不可能です。そのため、主に音程とリズムから、だいたいの発音を頼りに英語を理解しているのです。ということは、音程とリズムさえ正しければ、他はわかっていなくても通じるということになります。

 

空耳英語はリズムを似せている

先ほどの”What time is it now?”の例で見てみましょう。残念ながら音程は文章では伝わらないため、リズムのみを見てみます。

 

英語のリズムは複雑です。まずつづりを見ただけで理解するのは困難で、音の区切りの単位である「音節」というものを把握する必要があります。また、単語の重要度でも長さが変わり、重要な単語はリズムを長めに取ります。

今回の例だと、”What time is it now?”は5つの音節に分かれ、これが大体日本語の一文字ぶんの音に対応すると思ってください。ここでは「今」の「時間」を聞いているので、重要性の高い”What time”と”now”の部分で長めにリズムをとります。ここでは単にそれぞれが二音ぶんになるとしましょう。すると以下のようになります。

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これを「ほったいもいじんな」と比較してみましょう。英語と比較すると、日本語のリズムは非常に単純です。基本は「1文字1音節」で、たまに変わる程度のものです。今回は単純に1文字1音節として、比較してみましょう。

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1音分だけズレていますが、この二つがかなり近いものになっているのがわかると思います。

 

それに対して、「ワットタイムイズイットナウ」のほうは……数えるまでもなく、明らかに音節の数が多いですね。実に13音、元の英語の1.5倍以上です。また、本来とても短いはずの”is it”の部分が5音節と非常に長くなってしまっています。この違いが、「空耳英語は通じるのに、カタカナ英語は通じない」という差につながっているわけです。

 

ここでは詳しく扱えませんが、音程についてもカタカナ英語ではネイティブの発音と大きく違っています。日本語は英語と比較すると音程が非常に平坦であるという特徴があり、カタカナ発音ではそれが強調されてしまうのです。

 

モノマネをすれば英語がしゃべれるようになる

ではこれから英語を勉強する上でどのような部分に気をつけていれば、通じる英語が使えるようになるのでしょうか。



もともと空耳英語というのは、英和辞書ができる前の時代にアメリカへ渡った人が、現地の人が言ったものを聞こえたとおりに書き残したのが始まりです。対してカタカナ英語はつづりだけを見て日本語風に発音してしまったもので、現実での発音の仕方に則していません。つまり重要なのは、「聞いたそのまま」を発音すること、なのです。

 

これをみなさんが実践するには、モノマネと同じ要領で行うのがベストです。リスニング教材などで聞いた英語を、モノマネしてみましょう。実際に何を言っているかも、細かい発音もどうでもいいので、「音程とリズム」をそれっぽく真似するのです。最初は「ラララ」のみで真似しても良いと思います。

 

これを続けていると、だんだん英語のしゃべり方が理解できてきます。また、新しい単語を見たときに「これはどういう音程とリズムで発音するんだろう?」と考えるようになってきます。そういうときは、電子辞書やインターネット上の辞書を使えば、その単語をネイティブが発音したものを聞くことができます。そうやって色々な単語の発音を覚えていけば、どんどん英語がしゃべれるようになるのです。

 

上記のことを実行するのは、最初はかなり恥ずかしいと思います。この恥ずかしいという気持ちは、英語を使えるようになるために乗り越えなければならない最初の試練です。どうにか我慢して、ぜひとも挑戦してみてください。

 

「Bridge School 2016 in 信州」の英語セミナー紹介

私たちブリッジスクールは、「学び」をテーマとする高校生向けの合宿を行っています。

その一部である英語セミナーでは、「実際に英語でコミュニケーションをとる」ことを目指します。今回の記事で取り扱った「発音とリズム」など、要点さえ押さえていれば英語をしゃべるのは難しくありません。中学校レベルの単語と文法の知識さえあればほとんどの意思疎通ができるようになります。今回の記事を読んで英語をしゃべれるようになりたいと思った人は、どうぞ合宿に参加してみてください。セミナーでお待ちしています。

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